ドクターメッセージ
「ノルレボ錠」のお世話になった後は、低用量ピルを服用した安心セックスを心がけてください。 もちろん、性感染症予防にはコンドームを合わせて使うことを忘れてはいけません。
女性ホルモンは女性らしい体型を作り、子宮や乳房の発育を促し、月経を起こしたりします。また、妊娠、胎児の発育、出産にも重要な役割を果たします。このような女性ホルモンの働きは以前から知られていることですが、今ではもっとさまざまな働きがあることがわかっています。例えば骨、血管、皮膚などへの作用の他、消化管、肝臓や膵臓といった内臓に働きかける作用、さらに脳に対する作用も認められています。
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
女性ホルモンの働きをうまく利用しているのが、皆さまもよく耳にする「ピル(経口避妊薬)」なのです。
1960年に米国食品医薬品局(FDA)で認可されて以来、世界の女性に最も広く使用されてきた「経口避妊薬」のことをピルといいます。ピルは、卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)と同じ成分が含まれた飲み薬です。健康な女性が長期間にわたって服用するものですから、さまざまな研究評価の対象となり、多くのデータが集められているのです。
今や世界で九千万人を超える女性に使われています。
日本では今、月経困難症の治療薬を含めると、その数は16種類となっています。
ピルといえば副作用が心配というイメージを持つ人も多いようですが、広く知られている副作用は、ホルモンの量が多い高用量ピルの時代のもの。現在使用されている低用量ピルは、避妊効果を維持できる範囲で、ホルモン量の減量化が図られたこともあり、安全性や副作用は飛躍的に改善されています。ピルは、妊娠を希望するときには、服用を中止さえすればよいということから、安全性と有効性、確実性の面で高く評価されている避妊法なのです。
日本家族計画協会の調査(第8回 男女の生活と意識に関する調査報告書2016年)によると、低用量ピルの普及率は約4%程度。
一方、国連人口部の統計によると、フランスは41%、ドイツは37%、イギリスは28%、米国は16%でした。欧米におけるピルの内服率は、日本と比較してはるかに高いのです。
日本でピルの普及が進まないのは、ピルの副作用に関して誤った情報が認識されているからでしょう。
例えば、次のような話を聞いたことはありませんか?
これらはすべて間違いなのです。
もちろん薬ですから、副作用がゼロとはいえません。低用量ピルでは、副作用はきわめて少ないとはいえ、10人中1~2人の方に軽度の吐き気、頭痛など「つわり」のような症状が現れることがありますが、数日のうちにほとんどの方では症状が消失します。その他、めまい、乳房が張る、性器からの出血、消退出血、憂うつ感などが指摘されています。ただし、これらの症状の多くは、長くても2~3ヵ月間で消失するはずです。
それと、女性がとくに気にする「太る」ということ。ピル服用直後にはとくに黄体ホルモンが体液を貯留させ、確かに体重増加がみられることもありますが、その程度は僅かにすぎません。
ピル服用にあたって最大の注意点は、血栓症のリスクです。
血栓症とは、血管内に血のかたまりができ血管を詰まらせてしまう病気です。血のかたまりが肺などの重要臓器の血管を詰まらせてしまうと重篤な状態になってしまいます。ピルを使用していると血栓症のリスクが生じますが、高率ではありません。1万人の女性が1年間ピルを服用した場合、3~9人発症するリスクがあるとされています。ピルを服用していない人であれば1~5人です。あまりピンとこない数字かもしれませんが、例えば産後12週までの褥婦は1万人中40~65人が血栓症を発症するリスクがあるとされていますので、産後の方がピルを服用するよりよっぽど血栓症のリスクが高いことになります。
他にも喫煙は、それだけで血栓症のリスクが高くなります。ピル服用中の血栓症は、大抵、喫煙歴のある方にみられるものです。ピル服用中は禁煙しましょう。
低用量ピルは避妊効果だけではありません。他にもメリットがある女性の味方のクスリです。
女性の健康情報サイト「ルナルナ」が行ったピル服用のきっかけに関するアンケートでは、最も多い回答は「月経痛を軽減したいから」17.3%。次いで「月経不順を改善したいから」16.1%、「月経周期を変更したいから」11.6%、「PMSを軽減したいから」9.9%、「子宮内膜症など婦人科系疾患を治療したいから」6.89%となっていて、合計61.7%もの人が、婦人科系の悩みを改善する目的でピルを服用したという結果が出ています。
つまり、ピルには避妊だけでなく月経随伴症状の軽減効果もあるのです。月経随伴症状が軽減することによって、そのストレスから解放され、生活そのものの質の改善にもつながることでしょう。
ぜひ、お気軽にご相談ください。
月経のお悩み
低用量ピルは、現在、全世界の女性に広く受け入れられている避妊法です。飲み方さえ間違わなければ、ほぼ100%避妊が可能です。
ただし、ピルはホルモン剤ですから、特別な疾患をお持ちの女性は服用できない場合もあります。
ピルを服用している期間は、副作用を早期発見するためにも定期的な医師の診察が必要です。
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健康保険証をご持参ください。
当クリニックは完全予約制をとっております。事前にご予約の上、ご来院をお願いいたします。
副作用チェックのためにおよそ1年毎に以下の検査をおすすめします。
※当クリニックでピルを処方している方に対しては、経腟超音波検査は3,000円(税別)にて実施しています。なお、リスクのある方は、6ヵ月毎の血液検査をお受けください。
項目 | 費用 |
---|---|
ピル初診料 | 2,000円 |
ピル再診料・処方料 | 500円 |
ピル1ヵ月分 | 2,500円 |
血液検査 | 4,230円 |
超音波検査 | 3,000円 |
子宮がん検査 | 3,400円 |
クラミジア検査(子宮頸部) | 3,940円 |
淋菌検査(子宮頸部) | 3,940円 |
クラミジア・淋菌(子宮頸部) | 4,760円 |
性行為で避妊に失敗したとき、妊娠を回避するために服用するお薬です。
避妊の失敗例として……
・コンドームが破れた、途中ではずれた
・コンドームなしの腟外射精だった
などがあります。望まない妊娠を防ぐためにも避妊対策は大切です。
当クリニックで取り扱っている緊急避妊ピルは「ノルレボ錠 1.5mg」です。
これは、日本で初めて承認を受けた緊急避妊薬です。
ノルレボ錠は避妊効果が高く、性交後72時間以内に1錠を内服するだけでよく、さらに副作用が少ないのが特徴です。
※緊急避妊ピルは妊娠を防止しますが、100%防止できるわけではありません。妊娠阻止率は約85%です。
吐き気、倦怠感、頭痛、下腹部の痛み、イライラ、不安感、不正出血などが考えられますが、程度は非常に軽く、数時間から半日程度で治まります。
当クリニックで緊急避妊ピルを希望される場合、直接診察時間内にご来院ください。
当クリニックのノルレボ錠の費用は、16,000円(税込)で、別途初診料が必要となります。
「ノルレボ錠」のお世話になった後は、低用量ピルを服用した安心セックスを心がけてください。 もちろん、性感染症予防にはコンドームを合わせて使うことを忘れてはいけません。
望まない妊娠を避けるいわゆる避妊は、人生にとって大きな問題です。それを解決する優れた方法が低用量ピルですが、それ以外では子宮内避妊具(IUD)があります。
子宮の中に器具を入れて妊娠を避ける方法です。
当初はリング状の器具を入れていたために、避妊リングといわれていましたが、現在はより効果的で副作用が少ない形状のものが開発されています。
IUDの避妊効果もピルに次いで高く、避妊率は95%です。
IUDを入れた後、1年間で5%の方が(リングが入っていても)妊娠する可能性があるといわれています。ホルモン付加IUD(ミレーナ)はもう少し避妊率は高いようです。
子宮内に入れる器具のため、腟内には何もない状態ですからセックスにもまったく違和感はありません。
IUDの最大の利点は、一度装着すれば、ピルのように連日お薬を飲むといった日常のわずらわしさがない点です。また、妊娠を希望される際には、IUDを抜き取ればまた妊娠できます。
挿入直後に軽い出血や腹痛を伴ったり、月経時の出血量が増えたり、期間が長引くなどが生じることがあります。
外来で簡単に装着できますが、当クリニックでは基本的には出産経験のある方を対象としています。
一度挿入すると2~5年は挿入したままにしておけますが、年に1回、子宮がん検診をかねて診察を受けることをおすすめします。
※子宮口のかたさ、子宮の形、子宮筋腫などにより装着できない場合もあります。
当クリニックでは2種類のIUDをご用意しています。