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月経不順とは?

月経不順に関する悩みをお持ちの女性は多いと思います。
月経不順とはどんな状態なのでしょうか。
たとえば妊娠していないのに月経が来ない、周期がバラバラで一定しない、次の月経がいつ来るかわからない、1ヵ月に2回月経があるなど、悩みの内容や原因もさまざまです。

現代社会では、精神的なストレスも強く、それだけで微妙にホルモン状態がアンバランスとなり、周期が狂ってしまうことも珍しくありません。女性のカラダはデリケートですから。
さらに、過労、肥満、無理なダイエット(急激な体重減少)や、不規則な生活によって月経のリズムが乱れる人もいます。

これらの原因の多くはホルモンバランスが関係していますが、他にも、子宮や卵巣、甲状腺などの病気が原因になっていることもあります。

月経周期がめちゃめちゃ、月経の出血がだらだらと続く、あるいは3ヵ月以上月経が来ないという方、ぜひご相談ください。

ちなみに「正常月経周期」とは?

月経周期の正しい数え方は「月経の初日から次の月経の前日まで」の日数をいいます。だいたい25~38日の範囲で、出血は3~7日間くらいで自然に終わります。同じ人でも毎月周期が違うのが普通。ピッタリ同じという人の方が少ないかもしれません。

月経困難症について

月経が始まるとお腹が痛い!腰がだるい!頭も痛い!という人がいます。ひどいときはめまいや吐き気がしたり、起きていられないほど重症の場合もあります。
生活に支障があるほどの痛みがある場合を「月経困難症」と呼びます。

月経痛の原因

月経のとき、子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質が子宮内膜でたくさん作られます。この物質は、はがれ落ちた子宮内膜(=経血)を体外に押し出すために、子宮の筋肉をギューッと縮める作用があります。これが下腹部や腰が痛くなる原因です。とくに若い女性は、子宮の口が狭く、月経血が出にくいため痛みが強くなりやすいのです。
また、「プロスタグランジン」は頭痛や吐き気、胃痛などを引き起こすこともあります。

月経痛の薬

以前は、月経痛は病気じゃないから「がまん」するものと指導されていましたし、鎮痛剤を飲むとクセになるからやめなさいともいわれてきました。
でも、痛いものは痛いのですから、がまんすることはありません。積極的に薬を使用して、少しでも快適に過ごした方がいいに決まっています。

鎮痛剤
月経が始まったら、痛くなくてもすぐに飲むのが効果的。鎮痛剤は「プロスタグランジン」の産生を抑える作用があります。痛みが強くなってからでは、既に「プロスタグランジン」がたくさん産生されているので効果的ではありません。
低用量ピル
ピルは排卵を抑制することで月経痛をやわらげる効果があります。正しく飲めばほぼ100%の避妊効果もあります。とにかく快適、一度試してみてください。
低用量ピルは、月経困難症治療薬、子宮内膜症治療薬として、健康保険で治療できます。

※月経痛が強い方の中には、子宮筋腫や、子宮内膜症などの病気がある人もいますので、一度当クリニックを受診されることをおすすめします。

トピックス

最近、若年者で月経痛が強い女性は、将来子宮内膜症が発症するリスクが高いことが報告されています。低用量ピルは子宮内膜症縮小効果がありますが、若年者で生理痛が強い女性に早期に低用量ピルを使用することで、将来の子宮内膜症の発症や重症化を予防できる可能性が示唆されています。これまでは子宮内膜症の治療は発症した病変に対する治療でしたが、今後は子宮内膜症の発症と重症化予防の観点からの治療に発展していくとされています。

月経前緊張症(PMS)について

月経前緊張症とは?

月経が始まる3~10日前頃から繰り返し現れる身体的・精神的な不快症状のことで、月経が始まると消えてしまう症状をいいます。
「よく寝たはずなのに眠い」「頭痛がする」「手足がむくむ」「判断力の低下」「無性にイライラして八つ当たりをしてしまう」などが代表的な訴え。月経のある女性の約80%が経験しているといわれていますが、その症状、程度についてはとても個人差があります。
症状が強いと、情緒不安定になって人間関係に問題を起こしたり、家事や仕事が手につかなくなったりする場合があり、日常生活に支障が出る人もいます。

原因としては、排卵の後、卵巣から分泌される黄体ホルモン(女性ホルモン)のいたずらに基づく変化と理解されています。

どのような治療をするのでしょう?

月経が始まると自然につらさがなくなっていくため、ついついそのままにしておかれる方もいらっしゃるようです。
しかしながら、お仕事の能率が低下したり、職場、学校のお仲間やご家族に無意識のうちに迷惑をかけてしまうなどの心配もあるでしょうから、やはり適切な処置を受けられた方がすっきりするはずです。

薬によらない治療法

規則正しい生活は、月経前緊張症をやわらげる有効な手立てになります。そのためには、日頃からご自身の体力に見合ったエクササイズを定期的に行っておくと、睡眠も十分に確保されて、メリハリの効いた生活を送ることができます。
とくに、生理前には骨盤内に血液がうっ滞しやすく、これらは痛みの発症につながりますから、ジョギング、ウォーキング、水泳、あるいは下肢の屈伸運動などによってスムーズな血流を促し、各種症状の解消に努めるとよいでしょう。
また、バランスのよい食生活に気を配り、カルシウムやマグネシウムなどを積極的に摂取し、カフェイン、アルコール、喫煙は控えた方がよいでしょう。症状が重い場合には、仕事量をセーブすることも必要です。

薬による治療法

低用量ピル(排卵を抑える治療法)
治療については低用量ピルが最も有効です。
排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることがそもそもの原因なので、排卵を止め女性ホルモンの変動をなくすことで症状が軽快します。低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は、少ないホルモン量で排卵を止めますから良好な結果が得られる場合も多く、よく試みられる治療法です。
これらの薬は副作用が少なく、服用している期間だけ一時的に排卵を止めるものなので、服用を止めるとすぐに排卵が回復します。その後の妊娠には影響を与えません。
漢方療法
個人の証(症状や体質)に合わせて、漢方薬を選択します。全身倦怠感、頭痛、めまい、冷えなどに対し効果が期待できます。
抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)
月経前の脳内セロトニンの低下が、不愉快な症状の発現を招く一因とも考えられています。そこで、このセロトニンの活性を促して良好な効果を得ようとするもので、とくに抑うつ症などの精神症状が続く方に合ったお薬です。

月経を移動する(月経を早める、遅らせる)

「旅行や結婚式など大切な予定と月経の予定日が重なるので周期をずらしたい」
「入学試験や、大事な試合日に月経が重なるのはイヤ!」

そんなときはピルの服用により月経の時期をコントロールすることが可能です。月経を早める方法と遅らせる方法の2種類があります。

月経を早める方法

この場合月経が来てから1週間以内の受診が必要です。月経開始後3~7日目より10~14日間薬を服用すると服用終了後2~5日で月経が始まります。しかしまれに、服用後1週間以上経っても月経が来ない場合もありますので必ずしも確実とはいえません。

月経を遅らせる方法

予定月経の4~7日前より薬を飲み始め、遅らせたい日程の最終日まで飲み続けます。服用終了後2~3日で月経が始まります。1~2日後に来る予定の月経を遅らせることはできませんし、また、3週間以上遅らせることも難しいですが、より確実な方法といえるでしょう。

費用について

[診察料 2,000円] + [100円/錠 × 日数]

低用量ピルを服用されている方

すでにピルを服用されている方は、低用量ピルを使用して月経を移動させることが可能です。服用されているピルによって方法が異なりますのでご相談ください。ただし急な移動はできないこともありますので、移動したい月経予定日の最低1週間前までにはお越しください。

別途相談料
1,310円(当クリニックで処方)~2,880円(他院で処方)

注意点

  • 月経は急には変更できません。お早目にご来院ください。
  • 月経移動は、最終月経と月経周期から次の月経の日を予測してお薬を服用していただきます。したがって①最終月経、②月経の周期、③月経をずらしたい時期の3つの情報が必要です。
  • よく携帯アプリなどで次の予定月経を予測されている方もいますが、その方の月経周期によっては不正確な場合もありますのでご注意ください。
  • 来院される時期によっては月経移動ができない場合もあります。この場合も、別途相談料(1,310~2,880円)が必要となります。
  • 薬の反応には個人差があり、月経移動がうまくいかないこともあります。ご了承ください。
  • 月経移動ピル(中容量ピル)には副作用(吐き気、嘔吐、頭痛、嫌悪感、イライラ、下腹部の痛み、出血)の症状がみられる場合があります。