VOL.24 2002.6
TOPIX
立ち会い出産
 
 

女性は自分で出産しますから、その痛みをもって自然と母親になれると思います。しかし、男性は自分で出産しませんから、いつ父親の自覚を持てばいいのでしょうか。父親には女性のような痛みという「体感」がないのです。遺伝的なつながりしかありませんから、出産後「あなたの子よ」と言われても、スムーズに父親として歩み始めることができないこともあります。父親としての自覚を持つために、もっとも強力な方法は、妊娠中おなかの中の子どもに話しかけ、その子どもが生まれてきた瞬間を実際に目で見ることでしょう。そえが立ち会い出産のもつ大きな意味なのです。そこで今回は立ち会い出産にスポットを当ててみました。
佐藤クリニックでは、約8年間の開院当初より、立ち会い出産を勧めて参りましたが、その当時はまだ立ち会い出産をされるご主人の方が少数派でした。現在でもマタニティ雑誌の「バルーン」や「たまごクラブ」によると全国的には、立ち会い出産した人は31%とまだまだ少数派です。これは病院の方針で、立ち会い出産できない場合もあるからです。しかし佐藤クリニックでは、その割合は今年の1月〜4月までの平均で71.3%と、ほぼ4人のうち3人が立ち会い出産をされています。まだ立ち会い出産を経験していないパパに、その時どんな感じであったかをお伝えするために、佐藤クリニックで立ち会い出産を経験したパパに簡単なアンケートをお願いしました。アンケートは4月と5月に立ち会い出産をした77名のご主人にお願いしました。
立ち会い出産をしようと思った動機は、自分から希望した方が55.3%、34.2%がママに勧められて、そして10.5%の人が、たまたまとか友人に勧められてなどでした。そして、すべての人が立ち会い出産をして良かったと答えています。

        

立ち会い出産をしたご主人にその時の感想を伺っています。実際にどんな気持ちだったかを分析するより、生の声の方が実感が伝わると思いますので、代表的な感想を次に引用いたしました。

     
   誕生して(赤ちゃんが)すぐ泣いた瞬間の気持ちは、うれしさと共に責任という気持ちでいっぱい。誕生の瞬間、同じ空間にいることができて良かった。
誕生したときは、とても感動してしまい、泣いてしまいました。誕生したときに立ち会えて、すごく幸せな気分になりました。すばらしい体験でした。
感動しました。母は強いです。嫁さんには本当に感謝してます。これかもよろしくお願いしますの気持ちでいっぱいです。
素直にうれしいという気持ちと妻への感謝、そして生まれた子への責任を強く感じました。
長時間の苦闘だったので「やっとか」というのが正直な気持ちです。なぜかわかりませんが涙が出ました。
立ち会い出産が当たり前という思いがあり、実際に立ち会えてとても良かったです。こんなに時間がかかりしんどいものとは思わなかったです。
無事生まれてくれたことに皆さまに感謝するばかりです。妻も長い間陣痛で眠れず大変でしたが、出産間際はスムースでホッとしました。
やっぱり妻はすごいな!ってつくづく実感しました。この頑張りをしっかりそばで見ておくと、今後ケンカしそうになったとしても、やはり自分から先に謝ると思う。
びっくり、ボー然。
二人目ですが、この子のためにも、家族のためにもがんばらなあかんなあって思った。
何もできなかったですが、親子そろって誕生に立ち会えて一生の記念に残ると思います。
3度目の立ち会いだが、1度目と同じように感動した。子供(7歳)はすごくうれしいと言いかわいがっている。
一人目の時は余裕がなかったけど、今回は落ち着いていられた。
妻に対して:10ヶ月間つわりから始まってだんだん大きくなった腹で、長かったけど「ご苦労さん」&「頑張ったね」。
赤ちゃんに対し:3人目ですが、「出たぁー」って感動!10ヶ月の短い間にこんなに大きくなって。とにかく感動!
奥さんの苦しんでいるのを見るのは苦痛でしたが、生まれた瞬間、泣けてきました。うれしくて。
 
上記以外に、39%のご主人が「感動しました」という言葉でした。 いかがでしょうか。立ち会い出産の様子が少しわかるような言葉です。一生の間でせいぜい2、3回しか経験できないことです。もし可能なら、ぜひ出産には夫婦二人で協力して臨んでください。とってもいいですよ。
 

 

立ち会い出産はとても素晴らしいものです。条件が許されるなら、すべてのパパに立ち会ってもらいたいのですが、実際はパパの仕事の都合で立ち会えないときもあります。また、どうしても向かない人がいることも分かってあげましょう。パパとママがお互い相手の性格を理解し、思いやることが大切です。


立ち会い出産に向かないパパ
 血液が怖いと思うパパ。気が弱いパパ(気が弱い方は、いやでも“NO”と言えません。
 ママがよく見極めてあげて)。面倒くさがりなパパ。ママに言われたからと義務感だけで
 立ち会おうと思っているパパ。パニックになりやすいパパ。

立ち会い出産には不向きと思われるパパへ
 立ち会い出産に向かないからといって、妊娠、出産にかかわれないわけではありません。
 パパが妊娠に積極的にかかわることで、ママの出産に対する不安が軽減されます。実際ど
 のようなことをすればいいのかを説明しましょう。

立ち会わないパパの役目
 パパの役目は出産のときだけではありません。妊娠中から陣痛室、分娩室に入るまでのパ
 パの役目を勉強しておきましょう。

●妊娠中
 いざというときにあわてないよう、お産の進み方やパパの役割を、両親学級へ参加した
 り、本などで勉強しておこう。超音波写真を見たり心音を聞いたり、胎動を感じたら素直
 な気持ちをママに伝えて。おなかへの話しかけもグッド。ママは妊娠をパパと共有してい
 ると実感すると安心します。

●陣痛中
 陣痛室では腰や背中をマッサージしたり、ママと一緒に呼吸法を。また、痛みが増して極
 限状態になると、ママは体に触れられるのも声をかけられるのも嫌がることがあります。
 その時は、「こんなにいたわっているのにひどい」なんて思わないで。ママの望む形でサ
 ポートしてあげることが大切です。分娩室に入る前にしっかり手を握って激励を。

 
 
院長から一言
 
  産婦人科医には2種類あります。自分の妻が出産するとき、自分で子どもを取り上げるか、別 の産婦人科医に任せるかという2種類です。自分の妻が出産するときというのは、まだまだ若く、産婦人科医として経験年数の少ないときです。出産というのは突然難産になることもあり、経験不足から冷静に対処できないと困るし、また自分の妻が苦しそうにしていると、やはり冷静になれないと困ります。それなら経験豊富で信頼できる上司の医師に任せた方が安心だというのが後者の心理です。逆に前者の場合、大切な妻と子どものことなのでとても他人任せにはできず、自分の能力のすべてを出し切って、無事に出産を乗り切りたいという気持ちです。怖くてとても自分ではできなかったという産婦人科医も知っていますし、すべてを自分でして、大失敗だったという産婦人科医もいます。私の場合前者で、幸い二人の子どもも無事に育っています。その時としては最高の出産だったと思いますが、今から考えるといくつかの反省点もあります。もっとも大きな失敗は、第2子の出産の時、ビデオのスイッチを入れ忘れたことです。最初の子どもの時はちゃんと撮っていたのですが、二人目の時、セッティングはしていたのですが、肝心の録画スイッチを入れ忘れていたのです。十数年経った今でも、立ち会い出産をしているご主人がビデオや写 真を撮っている姿を見るたびに反省しています。このことは下の子どもには内緒にしていましたから、この文章を読んだ子どもからは非難されることを覚悟しています。そこで先輩パパとして忠告したいと思います。立ち会い出産は一人目の時より、やや余裕のある二人目の時の方に気合いを入れてください。
 
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