VOL.21 2001.12
TOPIX
 胎児の「すくすく」ストーリー
 
 
    
  ママのおなかの中で280日かけて大きくなる赤ちゃん。今この瞬間もおなかの中ですくすく育っています。おなかの赤ちゃんが今どうしているか、どんな様子かがわかれば、赤ちゃんへの愛情もますますふくらむでしょう。胎児の「すくすく」ストーリー、さあ出発しましょう。
   
 

妊娠1カ月(0〜3週)
妊娠の0週目は最終月経の第1日目から数えるので、まだ妊娠していません。卵子が受精して、子宮内に着床し、妊娠が成立するのは2週からです。卵子の大きさは直径わずか0.1mm。この後、受精卵はものすごいスピードで細胞分裂を繰り返し、脳、神経、脊髄、目、鼻、皮膚などの原型を形作っていきます。

妊娠2カ月(4〜7週)
妊娠7週で、頭臀長(頭からお尻までの長さ)は、1cmくらい、体重約4g。心臓、胃、腸などの内臓ができはじめ、目や耳、口などが現れる。脳も発達してきて、頭の形ができます。でも、まだ魚のような形をしていて、人間らしい形にはなっていませんから、「胎芽」と呼ばれています。でも心臓はしっかり鼓動を始めていて、妊娠6週頃から経膣超音波で確認できるようになります。

   
     
 

8週の胎児
体重6g
妊娠3カ月(8〜11週)
妊娠8週になると、タツノオトシゴのような形をしていた胎芽のしっぽは完全になくなり、名前も「胎芽」から「胎児」へと正式に変わります。頭・胴・足も発達して3頭身になり、まぶたや唇、鼻、下あごなども発達して、より人間らしい顔つきになってきます。手足の指も5本がはっきりとし、数えることができます。体の内側の変化としては内臓器官の発達があげられます。内臓はこのころから動き始めます。特に腎臓は早くから機能し始めるため、胎児は時々、羊水を飲んでおしっこをするようになります。各器官の基本はできあがり、薬やレントゲン、ウイルスなどの影響を大きく受ける危険は少なくなります。

妊娠11週の胎児
身長8〜9p
体重約30g

 
  妊娠4カ月(12〜15週)
着床の頃からつくられ続けていた胎盤がいよいよ完成します。胎児は胎盤とへその緒を通 してママから栄養と酸素をもらうようになるので、成長もいちだんとスピードアップします。さまざまな内臓器官が、この段階でほとんど原形ができあがり、これからはサイズが大きくなったり、細かいところが作られるようにまります。骨や筋肉も丈夫になり、透明だった皮膚も厚みを増してだんだん不透明になります。顔は産毛も生え始め、もうヒトと認識できるほどまで発達しました。まぶたは閉じたままですが、目は13週までにはほぼ完成しています。胎児を包む卵膜は丈夫になり羊水の量 も急速に増えます。全体に力強さを増した胎児は、広くなった子宮の中で小さな手足を動かし始めます。手でものをつかんだり、足でキックすることもできます。でもママはまだ、その動きに気がついていません。

15週の胎児
身長約15p
体重約120g

 
 

妊娠5カ月(16〜19週)
胎児の頭は鶏の卵ほどの大きさまで成長し、胴も少し伸びています。骨や筋肉が発達してきた胎児は羊水の中で体を伸ばしたり、手足を突き出したりして、今まで以上に盛んに動いています。こんとき胎児の手足が子宮壁にぶつかると、ママは胎動として感じます。肝臓や胎児はほぼ完成し羊水を飲んでおしっこをしています。口に触れるものに反射的に吸いつく行動も見られます。これは生後、おっぱいを飲む練習です。皮膚は赤みを帯び、皮下脂肪がつき始めます。産毛は全体に生え、髪の毛やつめも生え始めます。聴覚ができ始め、外界の音に反応するようになってきます。週数が進むにつれて、いろんな大が聞き分けられるようになっていきます。

19週の胎児
身長約25p
体重約300g

 
     
 

妊娠6カ月(20〜23週)
大横径(頭蓋の左右の最大長さ)は約5cm。まだやせていて、体中にシワがいっぱいです。髪の毛も濃くなり、顔にはまゆ毛、まつげも生えて、顔立ちが整ってきます。目を覆っていたまぶたは上下に分かれはじめ、胎児は目を開けたり閉じたりします。また胎児は、さらに量 を増した羊水の中で元気に動き回っています。まるで宇宙遊泳のように自由に姿勢を変えるので、逆子になることもありますが、特に心配はありません。受精直後から発達を始めていた脳には、ひだができ始めます。聴覚機能も発達して、胎児はママの血液が流れる音を聞いているようです。男女の外性器の差が外見上からもわかってきて、超音波診断でもわかるようになります。男の子なら精巣、女の子なら卵巣などのホルモンを分泌する器官も、活発に動き始めます。ママが空腹を感じると血液中のホルモン状態が変化し、それが赤ちゃんにも伝わり、空腹を感じるといわれています。規則正しい食事を。

23週の胎児
身長約35p
体重約1000g
 
 

妊娠7カ月(24〜27週)
まぶたが上下にはっきりと分かれ、鼻の穴が開通します。まだ、皮下脂肪が十分についていないため、しわが多いのですが、顔立ちはますます整ってきて、赤ちゃんの顔らしくなりました。胴や手足が長くなり、髪の毛もさらに濃くなっています。脳はからだ全体をコントロールできるくらいに発達しています。そのため、胎児は自分で体の向きを変えることができるようになります。この時期、聴覚が飛躍的に良くなります。これはママのおなかが大きくなっていちだんと腹壁が薄くなるのに加え、大きくなった胎児の耳が子宮壁に接するようになり、外の音が聴きやすくなるからだといわれています。また視覚も、お母さんの腹壁や子宮壁を通 して、透けてくる明るさを感じ取ることができるようになっています。

     

妊娠27週の胎児
身長約35p
体重約1000g

 
 

妊娠8カ月(28〜31週)
大横径は約8cmになりました。骨格はほぼ完成し、筋肉や神経の働きも活発になってきました。手に触ったものをつかむという原始反射の能力も備わっているので、ときにはへその緒をつかむこともあるようです。胎児の肺などの内臓器官や、脳などの中枢神経はかなり発達しているので、早産しても、無事に育つことがほとんどです。羊水量 はこれ以上増えないので、胎児は今までのように自由に動き回れなくなり、しだいに頭位 に落ち着きます。中には逆子の胎児もいますが、まだまだ治る可能性があるので、あまり心配はいりません。胎動を強く感じるようになるのは、大きくなった胎児の手足が子宮壁に直接ぶつかるから。顔はしわだらけですが、体の皮下脂肪は厚くなり、ふっくら体形になります。

     

妊娠31週の胎児
身長約40p
体重約1500g

 
 

妊娠9カ月(32〜35週)
体だけでなく、しわだらけだった顔にも皮下脂肪がついて、まるまるとした赤ちゃんらしい外見になります。全身に生えていた産毛はぬ けて、皮膚はつやのあるピンク色になります。指先には小さなつめもちゃんと生えています。プロポーションは4頭身。どこから見ても、赤ちゃんそのものです。外性器も完成しているので、男女の区別 もはっきり分かります。この時期、赤ちゃんは子宮いっぱいに大きくなり、子宮内のスペースに余裕がなくなるので、体の向きはあまり変えなくなります。でも手足をパタパタ動かしたり、手を握ったり開いたりと、相変わらず活発に動いています。感覚器官もかなり発達しているので、外からの刺激に対して表情を変えることもあります。

     

妊娠35週の胎児
身長約43p
体重約2300g

 
 

妊娠10カ月(36〜39週)
いよいよ臨月です。心臓、肝臓、呼吸器、消化器、泌尿器など、すべての臓器が100%完成します。皮膚はつやのあるピンク色、つめは指先よりも長く、髪の毛は2〜3cmの長さに伸びています。子宮いっぱいに大きくなった胎児は、背中を丸め、体の前で手足を組んだポーズをとります。お産が近づくにつれ、胎児の頭は少しずつママの骨盤に入っていき、ママは胎動をあまり感じなくなります。ママの胸のつかえが取れるのは、胎児が下がることで、それまで胃や心臓を押し上げていた子宮も下がるからです。ママの体の外に出てきても生きていけるように、病気に対する免疫が胎盤を通 してママから移行したら、後はもう誕生を待つばかりです。

     

妊娠39週の胎児
身長約50p
体重約3000g

 
院長から一言
 
  皇太子妃の雅子様が、12月1日、女の子をご出産されました。ご結婚されてから妊娠まで時間がかかり、しかも最初の妊娠は、流産という結果 に終わった後のことですから、その喜びもひとしおだったと思います。出産も、夜中に入院されたあと次の朝までは陣痛がなかったようですが、陣痛が来た後、比較的早く生まれましたから、安産だったと思います。産婦人科医の立場から考えると、おそらく不妊治療を受けていらっしゃった後で、しかも流産の後ですし、また37才という年齢から考えると出産に時間がかかることも予想されます。主治医の先生の頭の中では、いろんな場合を想定して、対応が考えられていたはずですが、それでも出産では何が起こるかわかりません。しかも、おそらく日本中が注目している出産ですから、無事生まれるまでは、相当なプレッシャーがかかっていたと思います。でも実際はおそらく予想されていたよりもはるかに超安産だったようです。まさに「案ずるより産むがやすし」ですね。われわれ一般 の産婦人科医は、皇太子妃のご出産を担当することはありませんが、でも出産に対しては、すべての人がいわば皇太子妃の場合と同じ大切な出産ですから、やはりプレッシャーも同じなのです。毎日プレッシャーの中で過ごしているので、髪の毛が抜けるのも仕方ないかなと毎朝鏡を見ています。
追伸 皇太子妃の退院のとき、赤ちゃんは、皇太子と雅子様の間でチャイルドシートで守られていました。そのチャイルドシートは、後部座席に「後ろ向き45度」でのせるチャイルドシートでした。これが世界標準ですから、皆さまも必ず退院のときチャイルドシートを準備しておきましょう。
 
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