VOL.18 2001.6
TOPIX
わずか60.9%
 
  昨年4月からチャイルドシートの使用が義務化され、すでに1年以上たちました。昨年5月JAFが全国で6才未満の子供のチャイルドシート着用率を調査したところ、全国平均が39.9%に対し、滋賀県は26.6%とワースト8位 でした。これに対して、大人のシートベルトの着用率は、80.4%(全国平均82.5%)です。単純な比較はできませんが、この数字から考えると、80.4%と26.6%の差、53.8%の大人は、事故の時子どもは被害にあってもいいから、自分だけは助かりたいということなのでしょうか。佐藤クリニックでも義務化される以前の1997年から、院内でチャイルドシート講習会を行い、チャイルドシート使用を呼びかけています。ですから、佐藤クリニックに通 院されているパパママたちのチャイルドシートに対する意識レベルは相当高いのです。それでもなお、退院の時、チャイルドシートを使用している方の割合が、60.9%(本年3月から5月の平均)でした。 何故チャイルドシートなのか 実際に、1才から14才までの子どもの死亡原因の第1位 は不慮の事故です。そしてその33%が交通事故なのです。しかも、グラフ1でわかるように、車に乗っているときに事故に遭う子どもたちが増え続けています。事故が起こった場合、グラフ2でわかるように、チャイルドシートをしていない子どもの82.4%は、頭、顔、首に障害を受けるというデータがあります。この原因は子どものからだの特徴に関係するのです。つまり、新生児では頭の重さは体重の30%と、大人の6%と比べるとはるかに重いのです。しかも頭の骨は分離しており、このために頭が変形しやすく、狭い産道を通 るのには適しているのですが、いったん頭部に衝撃が加わると、変形しやすいがために脳に障害を起こしやすいのです。また首も、重い頭を支えるには靱帯や筋肉の発達が不十分で、衝撃を受けやすいのです。従って、子ども、特に新生児を守るためには、頭頸部を重点的に守ることが重要です。そのためにどうしてもチャイルドシートが必要なのです。
   
  “トヨタチャイルドセーフティコミュニケーション”
こういったことをできるだけ多くの方に理解していただき、 さらにチャイルドシートの正しい取り付け方を体験していただくため、5月26日、佐藤クリニックで“トヨタ チャイルドセーフティコミュニケーション”が開催されました。これはトヨタ自動車と子供の安全ネットワーク・ジャパンが共同で行っており、チャイルドシートの正しい選び方、取り付け方を普及するための講習会で、昨年は全国7カ所で開催されました。当日は定員20名に対し約30名参加者があり、皆さま熱心にチャイルドシート取り付け指導員の話に耳を傾け、さらに、実際に取り付けにチャレンジし、練習していただきました。チャイルドシートの選び方や取り付け方には、新生児ならではのちょっとした注意点があるというアドバイスが、指導員からありましたので、それを紹介しましょう。

 
  まず、チャイルドシートの選び方です。
チャイルドシートは子どもの体格にきちんと合わせて乳児用、幼児用、学童用と使い分けていくのが基本です。現在佐藤クリニックに通 院中のパパママたちに、まず必要になるのが乳児用チャイルドシートです。乳児用チャイルドシートは、生後すぐから使うもので、この時期の赤ちゃんの体型に合わせて設計された専用シートです。4才頃まで使える兼用タイプもありますが、やはりおすすめは、専用タイプです。どの年齢用のチャイルドシートも、基本的にはできるだけ軽くて重心の低いものの方が安全です。チャイルドシート先進国の欧米では、いかに軽くて丈夫なものを作るかをメーカーが腐心しています。チャイルドシートはリクライニングしたり、回転したりしないシンプルなものの方が安全なのです。
 
  後ろ向き45°
そ乳児用チャイルドシートは後部座席に後ろ向きに取り付けます。体が不安定で頭を支える首の弱い時期は、いちばん衝撃が強い前方衝突の事故のとき、後部座席から背中にかけての広い面 積で衝撃を分散させて受け止めるためです。もっとも大切なポイントは背もたれの角度が水平に対して45°になっていること。45°よりも小さいと衝撃を受けたとき赤ちゃんが飛び出してしまいます。45°よりも立っていると赤ちゃんの頭が前に倒れて、呼吸困難を起こすことがあります。このためできるだけ大人が赤ちゃんの横に座って、赤ちゃんの呼吸の様子を見るようにしましょう。チャイルドシートについては、“ハローマービークラブVol.4”にも取り上げていますので参考にしてください。子供と自動車に乗るときチャイルドシートをするのは、交通 違反になるからではありません。大切な子供の将来を守るためだということを肝に銘じてください。
 
院長から一言
 
  高校を卒業して大阪の予備校に通っていたとき、私は予備校の寮に入っていました。その寮はとても小さなところで、木造2階建て、寮生は16人でした。二人部屋で、一部屋の広さが2.5畳くらい、そこに2段ベッドと机がありました。とても狭い部屋なので、机も、学校の机より奥行きが少し長い程度の小さなもので、いすもパイプいすでした。ベッドも長さこそ十分ありましたが、幅は80pもないくらいで、かなり狭いものでした。ベッドと机の間は、横向きでないと通 れません。二人で2.5畳。想像すると非常に劣悪な環境です。そんな寮の部屋を見た親たちは、きっとみんな子どもたちをかわいそうに思ったでしょう。最近自分の息子を名古屋の予備校の寮に入れたある人から直接聞いたことですが、やはり、寮に送っていったあとかわいそうになって、涙が出てきたと言うことでした。でもそんな寮に入った当時の私は、希望する大学生ではないですが、予備校に入って勉強しようというまた別 の希望に燃えて新生活に踏み出していったわけですから、つらいという気持ちは全くありませんでした。田舎から出てきた純朴な少年たちには、都会の生活は戸惑うことばかりで、かなりストレスもあったと思います。それでも大学合格という同じ目的を持った仲間が同じ屋根の下にたくさんいるということは、心強いものがあります。集団生活ですから、ある程度自己のわがままを押さえて我慢することが必要です。自宅にいるときと違って不自由なこと、不便なこともたくさんあります。つらいこともあったと思います(今はすっかり忘れています)。でも「住めば都」といいます。今では結構楽しかった思い出のみが残っています。出産とか育児も同じようなものかもしれません。たくさんの妊婦仲間や育児仲間がいると、ワイワイとおしゃべりしてストレスを発散できるでしょう。陣痛も端から見ると、つらそうですし、実際には本人もつらいときもあるでしょう。でもそれを支えるご主人がいて、その時期を乗り越えて出産し、かわいい赤ちゃんの顔を見ていると、つらかったことが逆にいい思い出と自信につながるのではないでしょうか。と、陣痛を経験したことがない私はそう思うのですが、でもやっぱり楽な方がいいですよネ。
 
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